(2022年のTea with Dress Diaryからリライトしました。)
英国王室に愛され、ヴィクトリア女王のために特別にブレンドされた紅茶「H.M.B.」。この記事では、植民地時代の歴史を背景に生まれた、この特別な紅茶の物語を紐解きます。アッサム、セイロン、ダージリンが織りなす奥深い味わいと、魅力的なパッケージデザインに惹かれて購入した体験談を通じて、この紅茶が持つ唯一無二の魅力を深掘りします。
英国王室が認めた、誇り高き紅茶の歴史
こんにちは。
ティータイムを愛するヴィンテージショップTea with DressのAtsukoです。
イギリスの紅茶には、植民地時代にインドやスリランカで生産された茶葉を自国に輸入し、独自のブレンドを生み出してきた歴史があります。その背景には、自国の紅茶を敬愛する王室に献上したいという、紅茶商たちの強い想いがありました。
「ロイヤルブレンド」や「クイーンアンブレンド」など、ロイヤルファミリーの名前を冠した紅茶が多く存在するのも、そのためです。その中でも、私が特に心惹かれたのが、リッジウェイのH.M.B.(ハー・マジェスティ・ブレンド)です。
ヴィクトリア女王に献上された傑作「H.M.B.」
リッジウェイのH.M.B.は、1886年にヴィクトリア女王からの特別な依頼を受けて誕生しました。セイロン、アッサム、ダージリンの3種の茶葉を、完璧なバランスでブレンドしたこの紅茶は、その深い味わいと香りで女王を深く感動させ、リッジウェイは英国王室御用達の栄誉を授かりました。

「ハー・マジェスティ・ブレンド」、つまり「女王陛下のためのブレンド」と名付けられたこの紅茶は、リッジウェイの傑作として今もなお愛され続けています。
私がH.M.B.と出会ったのは、毎年楽しみにしている博多阪急のイギリスフェアでした。そのクラシカルな六角形の缶に惹かれ、以前購入したアッサムの紅茶に続いて、この特別なブレンドに手を伸ばしました。

味わいとパッケージに宿る気品
この紅茶を初めていただいた時、缶を開けた瞬間に香る、凛とした香りが印象的でした。それもそのはず、アッサム、セイロン、ダージリンという、それぞれ個性を持つ茶葉の良いところを凝縮したブレンドだからこそ、その豊かな風味が生まれるのです。
口に含むと、深いコクと華やかな香りが広がり、まさに「美味しいとこ取り」の味わいでした。この紅茶には、ヴィクトリア女王が統治していた大英帝国の歴史や、その時代への憧れが詰まっているように感じられます。
H.M.B.の缶のデザインは、私がアッサムを購入した時と同じものでした。シンプルながらも気品あるデザインは、どんなティータイムにもしっくり馴染みます。イギリス紅茶は味だけでなく、パッケージの美しさも楽しみの一つですよね。
この特別なブレンドは、ストレートで茶葉本来の香りを楽しむのはもちろん、ミルクティーにしても美味しくいただけます。朝の目覚めの一杯としても、凛とした香りが心地よく、一日を清々しくスタートさせてくれます。